白い息がほどけそうで 夜は深く微笑む 君の頬をかすめた風が やさしさを運んだ 街のざわめきが消えて 音のない世界で 指先がふれた瞬間に 季節が止まった 遠く響く鐘の音 雪が舞い降りるたび 心の奥の静けさが 名前を呼んでいる 赤と白の記憶が この夜を包み込む ふたりだけの輪郭が 凍て空に浮かぶ 交わした視線の奥で 時間がやわらいで 永遠より確かな今を 抱きしめている 肩に落ちた粉雪を 君が笑いながら払う その仕草が描く線が 夜の絵になる 言葉よりも正直なものが ふたりの間を渡る ただ静かに寄り添えば 世界は息を潜める 聖夜を包む光が 僕らをそっと包む 冷たささえも 優しさに変わる 赤と白の記憶が 心を染めていく 君の瞳の奥に 雪が咲いている たとえこの瞬間が 風に消えたとしても 想いは冬を越えて 輝き続ける 凍る夜を見上げれば 星の粒が瞬く 言葉も約束もいらない 呼吸が答えになる 赤と白の記憶が この夜を包み込む ふたりだけの輪郭が 凍て空に浮かぶ 交わした視線の奥で 時間やわらいで 永遠より確かな今 愛合おう 赤と白の記憶が 聖なる夜を渡る 君と重ねたぬくもりが 永遠を灯す 冷えた世界の真ん中で 願いがひとつだけ 「離れないで」と 雪が囁いた 白い朝が来る頃に ふたりの影は並んでいる 静かなその光に 今日を託して歩き出す
