冬の終わりの静寂の中を 空飛ぶ円盤は横切った 君にも見えたのか 分からないまま 意味もなく 茜雲を数えている ほんの少しだけ 空へと近づいた 屋上のもうひとつ上にある 半透明な時間 君をこの場所へ 連れてきたその訳を切り出した 照れ笑いのあとで やがて静寂は 家路を辿り 昨日までとは違う風が吹く はるかな大地が 指揮棒を振る 音楽に耳を澄ましている 君と僕だけしかいない 卒業式予行 薄目を開けている 夕暮れの世界だけが ポケットに隠した 作り話を見破った 最後になるまで言わなかった言葉 あの時 君には何が見えていた 答え合わせをしても 数が合わない訳を 僕はその瞬間に気がついた 空の向こうに ふたつの未来 心を引き裂くような 悲しい言葉はもういらないよ もっと遠くへと 走り出していくよ また明日 見えるだろう 新しい光が 僕達はいつだって 世界と遊んでいる旅人