3月のまだ寒かった昼のこと 思い出した デパートの上に揚がる気球 ガラガラの廃墟で かくれんぼ 今も見つかんないや 遠い残像 手を振ったって 君を失ってゆく 10月の肌寒かった日曜の 思い出した 枯れ木の山に登る背中 赤い煙突が 笑っている 何も変わらんここは 深く錆びついた記憶だって 君が抜け落ちていく 12月の冷めたコーヒーの味がした 1月の朝の匂いを忘れないで 9月のトラックの声で目覚めた朝 何回も 君に手を引かれた 夢をみる 幹線道路を突っ切って 夜を連れ去っていく 低い解像度の風景に 君が消え去っていく 12月の風が通りすり減らした 1月の肌の匂いを忘れないで 12月の 1月の 12月の 1月の朝の匂いを忘れないで 12月の冷めたコーヒーを飲み干して 1月の朝の匂いを深く吸った 12月がまた次の景色 運んだって あの市街はまだ 消えないでここにあって