雨の港からは 汽笛も聞こえず ただわびしさだけが 流れてよどんでる ちょうど一年前に来て 前に来て 愛が芽生え始めていた 始めていたのに ああ 夜明けと共に 宇品の港から 旅立つのさ 雨は繁く重い 鎖も冷たい ただ悲しさだけが 波間にゆれている あれはほんの誤解なのか 誤解なのか 愛は固くからんでいた からんでいたのに ああ 満潮(みちしお)と共に 宇品の港から 旅立つのさ 雨の港からは 街の灯も見えず ただむなしさだけが またたいては消える やはりこれで終りなのか 終りなのか 愛をそっとぬくめていた ぬくめていたのに ああ 夜明けと共に 宇品の港から 旅立つのさ