Track bymaterial club
誰もいない教室に響く 吹奏楽部のプラクティス 静かに並ぶ机 椅子 黒板は光を吸い込んで ゆれるカーテンの隙間 白いボールが弾んでフレームの外へ 「戻ってたんだ」振り向けば 涼しい影 フルート抱えた 夏が――― 幻の傷がまだ痛む 君は青空ごと ヘアピンで留めて 陽炎 両手で掬い笑った 失ったものなのに 失ったものとしてここにある