はじまりは音もなく 枯れた月の影のよう 哀しいほど、美しい ひとひらの ウソ のようでした カゲロウを追いかけて 振り向けば道はなく 手のひらからこぼれ落ちる さらさらの、砂のよう いつかの、わたしの 哀しみが追いかけてくる 照らされることのない 絶望をたずさえて 近付けば、遠ざかる ゆうわくのカゲボウシ カタチのない幻想に とらわれて動けずに いつかの、あなたの、 やさしさに傷付いている 満たされることのない 寂しさを抱きしめている はじまりは、音もなく 終わりと背中合わせで 手を伸ばすその先に なんにもないことを知っていた ひとつぶの涙も こぼせないまま 朝がくる 朝がくる