君の心を綴ろうと思った もし見えるなら、 とても綺麗だろうと 僕も君に綴って欲しかった 自分じゃどうも描けないんだ 窓際に掛かった 風鈴の音はこの部屋で僕しか 聞いていない ああ、 夜空に花でも咲いたのだろうか 物語を書いていた、 そうこれは物語さ 誰もいない部屋の中でタイの音が 響く 君の声が聴きたい、 僕の景色を彩っておくれ 肌の熱さだけを憶えている 見えない月の綺麗さを綴る 君に描ける世界はあると 簡単に言って僕の手を引くんだ 手を引くなら最後まで 握っていてくれよ 僕に道は見えないから 点と点たちの間を結ぶ 君と空白とその隣りが 僕を唯一確かめられる 場所だったから 物語だったんだ、そうこれは物語さ 明かりの点かない部屋で風鈴の音が 踊る 君の声が聴きたい、 僕の景色を彩っておくれ 握った手の冷たさを憶えている 花火の音、屋台の匂い、 帰りの砂利道、夜の甘風、 君の笑い声、 全部、全部覚えているのに 入道雲も、空の青さも、 夜空の星も、風鈴の色も、 君の笑顔も、 見たことないんだ 綴れないんだ 物語だったんだ、そうこれは物語さ 誰も居ない部屋の中でタイプの音が 響く 君の声が聴きたい僕の景色を 彩っておくれ 肌の熱さだけを憶えている 握った手の冷たさを憶えている 君が笑う声を憶えている 見えない月の綺麗さを綴る