大気圏に 飛ばされてしまった犬は考える 茶色く塗られた小屋を思う 主人を思う 食べ物が有るから襲わないんだよ 俺の好きなものを否定した奴を思い 犬を見上げる教師 熱狂した拍子に意味も無く 水へ飛び込む教師 俺は不器用だから手紙を書いた 犬を思って手紙を書いた 真冬に敷かれた線路を 誰が靴も履かず歩くのだろう 俺の冷たい底に 誰がいつ安心するだろう 俺は悲しいフリをする 大気圏に飛んだ犬は考える なぜここにいるのかを考える まぬけな主人を哀れに思う 手鍋で沸かした牛乳を思う 主人が差した傘を思って 片道切符を見守って 始めて泣いてしまった 柔らかい手の肉で アスファルトを殴る 拳から肉が落ちて 靴を脱いで往来を歩いて 熱狂する人々と 剥がれた肉を拾う教師 犬はキリンを思う 真黒なキリンの舌を思う 赤子のぬるい汗でお茶を立てる 犬は茶色く塗られた小屋を思う 真冬に敷かれた線路を 誰が靴も履かず歩くのだろう 俺の冷たい底に誰がいつ 安心するだろう 俺は悲しいフリをする 自分が特別じゃないことに 気付いてから生まれる狂気 洗濯した日に限って降る雨 全部無駄にしてくれよ 真冬に敷かれた線路を 誰が靴も履かず歩くのだろう 俺の冷たい底に 誰がいつ安心するだろう 俺は悲しいフリをする それを見る犬 消費する犬 犬は空でキリンの首を思う 穏健派の武装 コンデンサの不良 だからここにいるんだなと思う 何故か読める譜面に目を通す 赤ん坊とさ 映画を見てさ 下衆な場面でさ 笑い合うのが 幸せなんじゃないのかな