雨じゃないのに 長靴を履いて悪い子 窓際に ささやく声を ふくらんだカーテンに 吸収されたの 牢屋のすきまから うんこを投げた老人みたいに 私はなっている 「声をなくしたの」 人差し指で伝える迷子の男の子 私は悪い子 落書きをしたのよ宇宙の 好きになればなるほど 小さく感じるの それは不思議 群れがうなずく光るまなこ 宇宙が降ってきているんだわ 伝えたいことが はじけて消える瞬間に 加速するの 君と私の区別なく 待ち合わせは 校舎裏 電話ボックスの前 たとえば秋のころ 甘いにおい それは 君のにおい たとえば帰り道 さよならの タイミングはむずい いじめたら 泣いて シューズで私が帰るなら 同じことをして 不良たちのたまり場を 離れて確認をしたら すぐにもどってくるのよ 口に入れてはいけないものを 口に入れたら ぺってするのよ 私は真夜中に そういう手紙を 書くのよ 好みは ちがうのだけれど けっきょく 同じものを見ていたら うれしいな 許す許さない 正しい、正しくない 掲げた生きる覚悟 意味のないもの 両極端のものたちが 連なる過去で 息をしている 欠落しているのは、愛 返事は はいでしょ 惑星の上 傾きがマイナスの 先端に立っている 小さくなっていく背中に 石を投げても届かなくて しわしわになっていく手の甲は 届かない声を聞かせてくれた きっとすぐ あしたになる あしたになったら おさがりの 教科書をあげる 机に隠した 不幸の手紙も あげる それは 小さな 言葉 赤いしみは 変なにおい ふうと 一息つき 机上で 一緒に死のう