単純さは くぐもっている あたしの腐食部でした 「刳り貫いてよ」 涼しい眼には似合いの靉靆を挟んで 透明なままで生活している 欲張りな昼の暗い喪失に 澄んでいる夜には拗ねてみるけど 日めくりでも愛は薄まらないでいて 投げかけた ifも届かない水中の部屋で 泳いでいく、濁していく 見過ごしたあたしの嘘 人工の泡の中 満月にはなれなかった あたしを手招いた罰に 「見逃さないでいて」 一等星には馴染みの愛称を与えて 鮮やかなままで居られたら もうそれで願うことなど無いわ 二人を隔てた痛みが消えていく この部屋を出ても また夢を見るわ その度に貴方の他愛ない声 生活の癖を 泳いでいく、透き通っていく 夕方のベルは鳴って 噎せ返る水の中 どこにいても忘れないわ