温く燃える海を眇めて、歩く、 十月末 時速4キロで下ってく、 どこへ行くわけでも無く 逃げ遅れた夏の匂いが、 金木犀に淘汰されている 海に入るには、少し、 少し少し涼し過ぎる 昨日見た夢 季節は夏で 雲の輪郭がはっきりしてた 僕はまだ幼くて 怖いものなんて何も無かった 体に残る幼い熱が 焦げる、匂いがする 温く燃える海を眇めて、歩く、 十月末 缶ビールを開けるには、 まだ少し明るすぎる 逃げ遅れた夏の匂いは、 ここにはもう届かない 海に入るには、少し、 少し少し涼し過ぎる 昨日見た夢 季節は夏で 透明な水槽、眺めてた 僕はまだ幼くて 悲しいことなんて知らなかった 昨日見た夢 季節は夏で 右手には誰かの手握ってた 僕はまだ幼くて 心配なことなんて無かった 体に残る幼い熱が 焦げる、匂いがする