涙の理由をくれる彼らが 憎たらしいほど今日も美しい 唇を噛んだ跡忘れるように 涙の代わりに声を枯らしている 同じようにできるはずなのに 報われたあの子が掻っ攫う視線 溢れる歓声に取り残され隠した 胸の綻び 髪の先まで生きる彼らは美しい 仰ぐ目線はどこを見ている 風にはためく 走る背中に 追いつけるときが来るのだろう 髪の先まで生きる彼らは美しい 傷んだ毛先じゃなにも見えない 櫛の通らない絡まった髪が 解けるときまで 〈演奏〉 涙の理由をくれる彼らの姿 目の端に映り続けて つぶれば明けない夜だけ 涙の理由を押し付けたら 作った水溜りに 傷んだ髪の私が映り込む 鏡に向かって掴んだ ハサミがなぞった枝分かれ 思い切れば現れた胸の内 私の肩を名残惜しく 見つめるあの子が 後ろ髪を引いて 私の隣に肩を並べる 〈演奏〉 髪の先まで生きる彼らは美しい 満ちる期待が待ち焦がれてる 迷わないように 目を逸らさずに 追い続けることができるのだろう 髪の先まで生きる彼らは美しい 揃った毛先が教えてくれた 靡く髪はもうないけど 背筋を伸ばして胸を張る 寂しくなった首元の髪が 風に揺れてる 〈演奏〉