頬なでる波が 引き潮の声知らせる 山吹の月は 艀の上で霞んで 誘いかけるだろう 戻りえぬ道へ 冷えてゆく肩を抱くように 今は笑顔さえ 何処かへ忘れて 夜は深けれど 朝の光 注ぐなら 畏れるものなど 何ひとつないはずだと あの日のお前は 帆をあげ沖を目指した 波は荒れ狂い 雨は目を奪う 風に攫われて あの渦へ 力尽きるほど 運命は敢えなく けれど星の下 朝の光 浴びようと 今は笑顔さえ 何処かへ忘れて 夜は深けれど 朝の光 注ぐなら 頬なでる波が 引き潮の声知らせる それは暖かく 夜明けを告げて消えた