北走する大挙の衛兵 備えたる太子の伝令 昏みゆく空を見て今日も火を焚く 北風がさらう体温 依然進まないミッション 凍てついた 大気のフィールドにしぶとい事態と 知る ある虚無感だけがくらくらと 脳天を渡り切って疼きだした この海を渡れば生きては 戻れないのか 狭い日本でしか晒せないこの命よ この海を渡るも 出来やしないこの流氷に 知らずして 一途にしがみつくその命よ 北西に大きな怪音 ふためいて逃げる大衆 打ち対する鬼の居城を捉え 身震いする 背徳感だけでは見射られないと 脳天を騙し切って奮い立てよ 最北端までも逃さないと かっちりと睨みきって挑みかけろ 凌ぎ合う刀身の鋼に写る七竈 敵の目に灯りし人の意思、人の灯り 同じく死怖れては違う道を 歩いたのか 荒ぶられん霊神も肝を冷やす活劇よ …この人を殺すの? ここで終わる漂流記 歴史の暗躍者は追うものか 逃げるものか 時流れゆくほど散り散りになる 流氷に しがみつく者たちも沈みゆく 者たちも 雪崩れこむ水飛沫よ