好きと云はれりや誰にでも からだをひらくをんなだと 世間(ひと)がわちきを 嘲笑(わら)ふのを 知らぬわけではありんせん だけどこの命 一思ひに投げ出した相手は 唯(たつた)一人だけ 噫こんな奥底を 突き止めて置きながら 知らぬ存ぜぬぢや 余り然(そ)で無いわいな 月に叢雲(むらくも) 花に風酔わせておくんなんし 惚れて候 好いたお人にや何処までも 莫迦(ばか)になる様なをんなだと 世間(ひと)がわちきを 嘲笑(わら)へども 自棄(やけ)や 勢(はず)みぢやありんせん だからこの心 破いて千切れる迄(まで)抱いてよ 唯一度だけ 噫こんな痛みなんぞ 明日の望みなんぞ 見えぬ聞こえぬ 本当も嘘も無いわいな 指切拳万 針千本呑ませておくんなんし 暗(く)れて候 無無(なけな)しの命の証を 点(とぼ)しておくんなんし 判るざんせう