オーヴァーコート もぎ取られそうな 風がひとつ駆けぬけたんだ 針葉樹のこずえをすって カイラスの向こうへきえた フィールドノートがちぎれて踊る 水彩のおぼろな雲を見上げて 徘徊をするぼくは 白い口笛をふきふき スイートピイ 時期を待つつぼみが可憐だ 再会の日のカレンダー こころにとめてまた進む あちこちの日除にはまだ 雪がかたく残ってました 街道からはずれてぼくは 廃校でひるめしを食った 白亜紀の川に満ちるひざし 水曜の雨でまた風景が いっそう春のほうへ 近ついているのがわかる スイス製の 時計も止まっていたんだ しんしん胸が痛んだけれども すぐに気はまぎれた 耳をぴんと澄ました ぼくのシャッポへと 純粋な北風のストリング 新世界の響き 水彩のおぼろな雲を見上げて 徘徊をするぼくは 白い口笛をふきふき スイートピイ 時期を待つつぼみが可憐だ 再会の日のカレンダー しるしをつけてまたすすむ すすむ すすむ すすむ