憶えているかい ななつのころ、ドキドキしながら あの娘にあげた大事なオモチャ イケないことかい あの娘の顔を 僕の体温で溶かした チョコで汚してみせた 燕尾服のコオロギが 草の根をかき分けて 手招きで誘う 「よいこだ、おいで。」と あの夏の思い出は 月が何度形を変えたら 眠れるだろう どうでもいいだろう おとぎ話さ 君が背中に隠した 秘密が僕には見えるよ 誰にも言えないなら 嘘を覚える前に 僕にあずけてごらんよ 聞こえているかい 見覚えのある黒い睡魔が 足音をたてて近寄り迫る 燕尾服のコオロギが 夢の扉を開けて 手招きで誘う 「よいこだ、おいで。」と あの夏のおもかげも 草の根をかき分けて 微笑みで誘う「ゆこうよ。」