目蓋を開いてもそこに あなたの姿はもうなくて 静かに鳴り響く 秒針の音が 私の心を引き裂いていく 二人掛けのソファー 対に揃えたマグカップ 香りが残ったままの記憶と ひとつだけ残されたままの 不揃いのペアリング 溜息が宙を舞う 戻らない時間にただ縋って あなたとの日々を思い出して 堪えきれない涙も ぼやけた視界からはみだして また夜を嫌いになっていく 耳を澄ましてもそこに あなたの声は聞こえなくて 他愛もない会話が 幸せだった 本当に、大好きだった 何をするにも、ふたりだったから 一人じゃやる気も起きなくて あなたが愛した、私が好きだったの ありのままの自分でいられたから 戻らない時間にまだ縋って あなたとの日々で時計は止まって 哀れだよね、私 いつまでも過去に纏わりついて 今でもあなたを 嫌いになんてなれなくて 思い出はずっと瘡蓋 痒くなって剥がしてしまうの 流れ出して 溢れ出していく 全ての情景が 運命と呼んでいた恋人だって 今はただの2本の糸 戻らない時間に今日も縋って あなた以上の人はどこにもいなくて 数えきれないほどの幸せを あなたはくれたから 思い出しちゃう、のはきっと私だけ あぁ今日だってまた、 明るくなっていく