『わたしがころした、モナリザ。』 其れとも、 甘言を拝んだ私が滑稽? 傑作に集る蝶の輪郭を 今も覚えている 嫉み|焦燥|自尊|薄幸|楽観|嘲笑|躁 何れも、肯定していた私の脳に居る 下らない懺悔 |晩餐を吐いて|鼬を食んで| 其れは、神様で在りたくて。 腐乱した髑髏を悼むなら わたしだけ理解して! そっと 断頭台が映す遺体は、 肖像のようね。 残る体温を 許せなくて まだ、まだ、まだ。 壇上。 座す瞳孔は、 私の解を反芻している。 「救いが無いのは如何して?」 私が喪った?モナリザ。 其れでも、細い頸動を刺して憧憬。 滔々と熟れる柘榴 銀色を鈍く模してしまう 見初めた剥製が 何度も叱正している 白けた道化師のように戯ける 私自身が、下らないんだって。 |内臓を擁いて|髪を咬んで| 無垢な肋骨を砕いて 溶いた逆水を呑干すと、 懸隔を理解する怪物。 |死神を騙って|悪魔と踊って| 今際、神様に成れなくて。 嗄れた菖蒲と眠る。 もう わたしをみないで! 草創を落とした赤い指掌は、 蛺蝶のようね。 残る体温に 憧憬は茹だって ただ、ただ、ただ。 壇上。 座す瞳孔は、 私を才へ手招いている。 救いはないと判っている。 断頭台が映す遺体は、 肖像のようで。 残る体温を 私と知って まだ、まだ、まだ。 壇上。 座す瞳孔は、 私の審美を希求している。 絶好の最期とはなんだ? 私と逝こうか、モナリザ。 えがいて えがいて どうして ねぇ わたしのあざ えがいて どうして どうして ねぇ わたしのせい? どうして どうして どうして ねぇ このいふを、 わたしはころしたんだっけ あぁ、そうか、わたしなんて、