瞬きしたその間 形も残らないほどに この街は変わった 見慣れていた風景もいつしか ふと思い出すくらいになって ピントがだんだんぼけていくみたい そういえばずっと 行きたいと思っていた 駅前のカフェ 閉店したらしいよ この街は呼吸をしている 人知れず脈を打っている 過去に囚われたままの 僕を置き去りにして 悲しいことではないから それがまたなんだか 虚しかった 虚しかった どれだけ焼きついた風景も いつかはただの情報の羅列 誰も覚えてはいないかもしれない 新しく見えた風景さえ 知らず知らずのうちに馴染んでいく 当たり前を徐々についばんで 当たり前に成り変わる 駅前空いた場所 工事していた 次は何になるかな この街は呼吸している 人知れず脈を打っている 淡々とただ静かに細胞 入れ替わってゆく 小さいような大きいような 始まりと終わり繰り返す 繰り返す 待ち合わせした交差点 立ち止まる踏切 いつものゲーセン 深夜家を抜け出した コインランドリー この街は呼吸をしている 人知れず脈を打っている 僕を生かしたその場所 もうそこにはなくとも 悲しいことではないだろう さよならの先に この街をまた見つけるんだ