鞄の中にお菓子と 大好きな本を仕舞って お喋りな兎を抱いて 秘密の旅に出るの 欅道を抜けると彼方には白小鳩 ジオラマの街を飛ぶ 小さな魔女だった たった一つの思い出を 守り続けて生きていける やさしい涙が流れて やがて運河に繋がるように やっと見つけるの わたしのほんとうの名前を 瞼をとじたら今日を 忘れてしまうのかな 寂しいときの魔法も 要らなくなるのかな 桜草が揺れると瞬いた緑小灰蝶 果てのない箱庭に最後の季節が来た たった一つの思い出を 守り続けて生きていける つめたい光が注いで やがて森羅に繋がるように やっと見つけるの わたしのほんとうの名前を たった一つの約束を 唱え続けて生きていける 霞がかった架け橋が いま故郷に繋がるように やっと見つけたの わたしのほんとうの名前を