──書物曰く。 蔦に絡まれた、 この城の地下に在るという部屋に 魔法の根源である、 "結晶"の中、貴方がいる。 [もしも君が、 彼を助けたい、と、そう願うなら、 “覚悟”をして] どれ程の絶望を抱え、ここで一人。 私の為、死んだのでしょう。 何を犠牲にしても。 貴方だけは、私が助ける。 暗く寒い階段を降りて その奥に進んで行くと、 青白い光を帯びた 銀色の大きな扉が。 [扉に触れ、 大切な物を捧げた先には、 "願い"が待つ] 扉に触れると誰かの声がして ≪"総て"を差し出せ≫ と、言った。 ──私は頷き、願いを伝えて、 "総て"を失う。 "結晶"から放たれゆく貴方は 私の腕の中で眠る。 「彼を蘇らせた後に、 彼の中から私の記憶を消して。」 "わたしのいないせかいで、 しあわせになって" あなたに、まだ、きこえていますか このこえが。 きえてしまっても、さけぶよ、 あなたを、あいしています、と。