《触発される音楽たち》シリーズ 特別篇。
世界が《おったまげー》と唸る、世界盗作裁判シリーズ vol'3。
「ビルボード Hot 100」14週連続 全米1位の大ヒット曲!
2016年 第58回グラミー賞 最優秀レコード賞 受賞。
ストリーミング再生回数 20億回、1200万枚の売り上げ!
その曲は、マーク・ロンソン feat ブルーノ・マーズの
①『アップ・タウン・ファンク』(15年) 。
さぞかし ウハウハと思いきや、《金の匂い》を嗅ぎとったハイエナが、すぐそこまで迫っていた…《盗作訴訟》という狩場に……
アメリカでは長い間、音楽の著作権の対象は《楽譜》に限られていました。
1710年に初めて著作権法が制定された時から、細かい追加事項はあるにせよ、
基本的にその対象は「紙に書かれたもの」
...つまり楽譜であり、要するに 楽譜を出版する出版社の権利を保護するものでした。
その後1976年の著作権法改正により、カセットテープ等からの個人録音、録音物からの《海賊盤》への対策がなされましたが、基本的な考え方は、《譜面上》で類似が見られるか…でした。
そんな中
2013年の大ヒット曲『ブラード・ラインズ』盗作訴訟問題が発生しました。
この曲は、マーヴィン・ゲイの『黒い夜』をサンプリングしたのではなく、似た雰囲気の曲を作ったわけです。
著作権の範囲は、メロディー、歌詞、コード進行を保護するわけですが、今回問われたのは、サウンド、アレンジ、グルーヴ感が似ている事が、盗作に値するのか?...と、言うこと。
結果は、『ブラード・ラインズ』サイドの敗訴。
このエポックメイキング的な事案は、
「譜面上 違っても、曲調が似ていれば 盗作訴訟に勝つ事が出来る」
というメッセージになってしまいました。
これも、最初にマーヴィン・ゲイ側と話し合っておけば......
歴史は元には戻らない......青春は二度と帰らない……付いた脂肪は 簡単には減らない……
『アップ・タウン・ファンク』の最初のクリエイターは、
マーク・ロンソン
ブルーノ・マーズ
フィリップ・ローレンス
ジェフ・バスカー (プロデューサー)
の4名。
しかし、発売直前に
トリニダード・ジェイムス
デヴォン・ギャラスピー の2名が追加。
2013年の彼等のヒット曲
⑧『オール・ゴールド・エヴリシング』
から、「Don't believe me、just watch 」
というフレーズを引用しているからです。
この曲が発売されると、好評だけじゃなく、様々な声も聞こえてきます。
「なんか聴いた事ねぇ ⤴︎ 」
「70年代か80年代前半によくある曲(笑)」
などなど……
そんなこんなしていると、2015年に ギャップ・バンドの79年のヒット曲
②『 ウープス・アップサイド・ユア・ヘッド 』
に似ていると、訴訟を起こされるました。
過去に袂を分かつた ギャップ・バンドのチャーリー・ウイルソンと、プロデューサーのロニー・シモンズが共同戦線で乗り出して来たのです。
『アップタウン・ファンク』サイドは これを認め、6人のクリエイター・クレジットに
ギャップ・バンドの、チャーリー 、ロバート 、ロニー の ウイルソン 三兄弟と、キーボード奏者 ルドルフ・テイラー 、そして、プロデューサーのロニー・シモンズの 5人が加わり 計 11 人になりました。
こうなったら、止まらない。乗ったモン勝ち!
同じく 2015年、コラージュというファンクバンドから、
1983年の ③ 『ヤング・ガールズ』にそっくりだと訴えられる。
「ギターリフのタイミング、シンセサイザーの演奏構成 他、重ねて聴けば聴き分けられない程 酷似しており、類似性は明らかだ!」
との事。
また、2017年 、ザップの1980年の作品
④ 『気分はザッピー / モア・バウンス・トゥ・ジ・アウンス』
の著作権を持つ ラストラダ・エンターテインメント社によって訴訟を起こされました。
また、セルビア人歌手の Viktorija が、
『アップタウン・ファンク』の80%は、1984年の自曲
⑤ 『Ulice Mrache Nisu Za Devojke』
を使用している……訴訟は保留。
また、ザ・シークエンスも79年の『ファンク・ユー・アップ』の盗作だと主張するも、訴訟は保留。
は、は、は、 おこぼれにあずかれると良いですね。
⑥⑦は、『アップタウン・ファンク』っぽい曲を😅
ちなみに、利益配分は 「ニールセン・ミュージック」によると
マーク・ロンソン…………18%
ブルーノ・マーズ…….....……18.3%
ジェフ・バスカー………….……18%
フィリップ・ローレンス.…...20.5%
デヴォン・ギャラスピー……...5.2%
トリニダード・ジェームズ...8%
ギャップ・バンド……………….12%
だそうです。
だから、早くバスに乗れって言ったでしょうが⤴︎
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