占い師はその姉妹を見て、緋色と茜色の姉妹、と表現した。まるで、双子のように聞こえるがそうではない。だが、占い師が言った緋と茜にほぼ違いは無い。ただ、一方が微妙に暗みを帯びているのだが、別々に見たら違いなど分かるわけが無い、それくらい二人の雰囲気は似ていた。年齢が近いこともそれにあったかもしれない。さて、なぜ姉妹の前に占い師が現れたのかと言うと、姉妹の共通の友人が裏の世界で有名な占い師のもとを訪れて自分の将来を占ってもらったからである。そこで、占い師は目の前の女以上にその姉妹のことが鮮明に見えて、困ったことにその女の占いの結果を伝える前に姉妹のことに興味を示した。「あなたには、姉妹の友人がいますね。」、「二人の黒髪は陽に当たると青みを帯びる色を持っている。」、などと印象を話し最後には「二人は稀有な人生を送るでしょう。」と結び、部屋を出ていってしまった。女は帰って姉妹にこの事を伝えたが、改めて考えると占い師はもちろん姉妹に対してもあまりいい気持ちを覚えなかった。ところで姉妹の家を突然訪れた占い師は家人の驚くのを構わず、二人を嫁にして連れて帰りたいと父親に告げた。それに対して値踏みした父親は値をつり上げるように首を縦に振らなかった。その反応を知ってたかのように占い師は大きく笑い、姉妹に呪いをかけた。二人が喋る声は全て絶叫と化す呪いである。但し、件の女だけが姉妹の絶叫を言葉として聞き取れるのであった。
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