#2 目覚めよと呼ぶ声あり
マタイによる福音書25章「十人のおとめのたとえ」から、花婿の到来を喜ぶ乙女たちを歌う讃美歌。
つまり、「花婿」=「神の国」の到来にいつも備えておきなさい、というキリストの諫め。
『ルター教会の柱』とされたフィリップ・ニコライ牧師作。作曲当時の1598~9年は、ペストが大流行し、連日10回も葬儀ということもあった。
後に大バッハは、三位一体節後第27日曜日(イースターがものすごく早かった年にしかない12月の直前の日曜日)の礼拝のために作曲したカンタータ第140番の中の第4曲に、テノールが歌うコラールとして上記の讃美歌の旋律を使用した。
大バッハは、更に、このカンタータの第4曲を含む6曲を抜粋して、オルガン用に編曲した(BWV645)。
この時の題名は「シオンは物見らの声を聞き」だが、元のカンタータの「目覚めよと呼ぶ声あり」の名で有名。
『ニコライ牧師の原曲の歌詞』
起きよ、夜は明けぬ、
ものみらは叫べり、
起きよ、エルサレム。
おとめら、目覚めよ、
花婿は来ませり、
めさめて迎えよ。
さかえの主は
くだりましぬ、
ハレルヤ。
ともしび
かかげて
いざむかえまつれ。
よろこびあふるる
ものみらの叫びに、
おとめらは覚めぬ。
さかえに輝く
主の降(くだ)りたまえば、
光はさしでぬ。
主よ、よくこそ
ましましけれ、
ハレルヤ。
祝いのむしろに
いざつかせたまえ。
天地(あめつち)こぞりて
稜威(みいつ)たぐいもなき
主をたたえまつれ、
玉座(みくら)をめぐりて
勝ち歌をうたえる
みつかいとともに。
待ちにまちし
主はきませり、
ハレルヤ、
栄(は)えある
かちうた
いざともにうたわん。
・・・・・・・・・
『大バッハが作曲したコラールの歌詞』
シオンは物見らが歌うのを聞いた、
彼女の心は喜びにはずむ。
彼女は目覚め、急いで起きる。
彼女の恋人は天から華やかに装って来る、
慈しみゆえに強められ、真理ゆえに力ある方が。
彼女の光は輝き、その星は昇る。
いざ来たれ、とうとい冠よ、
主イエス、神の御子よ!
ホサナ!
我らもこぞりて
歓びの広間へゆこう
そして晩餐にあずかろう。
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