ある日の早朝電車の中。隣に座るおじさんがちらと僕を見て云おうか云うまいか暫くの呻吟の末ようやく意を決したように僕にこう云いました。
‘すいません、マスク着けてもらえますか?’
聞き分けの良い僕は何も云わずに大人しくマスクを装着し感情を持たぬロボットのように再びスマホに目を落とすのです。
横浜駅で降りるおじさんまだ何か云いたげにちらちらと僕を振り返りますがマスクを着けたその顔はやはりロボットのように表情に乏しく如何なる無言の意思も僕には届かない。ですが分かりますよ。あなたの云いたいことぐらひ♡
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