属せば何かと楽だけれど
人間関係は面倒で辛かったり
属すことから離れると
何もかもを自分で考え動かなければならない
だけれど
わりと人間関係はシンプルで楽だったりする
時に、そんな期間をつくりたくなる …
“ 属さぬ旅 ”
異国の朝は
スパイスの効いた風が漂う
焼き立てのパンの香りと
遠くの祈りの声がまざり合う
知らない街の陽光が
私の常識を跡形もなくさらう
紙の地図を片手に歩く
決めるのは私自身
迷うことさえ
楽しい旅の一部なんだよ
五感を澄まし観察し共感する
誰にも頼れない
だからこそ
私の心は輝きを奏で始める
バスが来ない午後
市場の喧騒、強い果実の匂い
飛び交う言語の渦
何とかなるし
何とかするという力が
メキメキと育つ音が聞こえる
ここでは私が異分子
どんなに装ってみても
何もかもが違うけれど
同じ人間なんだと知る
その確信は
私を風のように支えた
ふと交わす笑顔や
たどたどしい言葉のやり取りが
思いがけない喜びを生みだす
そこで得た孤独は
私を閉じ込めるものではなく
アースとつながる静かな扉
異国の一人旅は
自由と責任を私に与え
どこにも属さぬしなやかな強さを
心に深く刻み込んでくれた
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