あるいは二匹めのどぜうか。
引き続きアビーロードスタジオ録音の最近のものを何曲か紛れ込ませました。
さあどれでせう?
ていうかジャケやら何やらに書いてありますな。4曲は確実ですがあとはどうでせう?僕にも分かりませんが。
🐔🐔何処かの鄙びた農家の庭先に二羽のニワトリがおりましてな。雄鶏と雌鳥の二羽で雄鶏の名前がコー。雌鳥がケーコでございます。
この二人(二人とかいって😆)互いに惹かれあってはいるものの可哀想なことにひとりひとり(ひとり😆)別々の鶏小屋に入れられておりましてな。互いに近づき愛を交わすことも出来ないのでございます。
朝な夕なのコケコッコーは二人の切ない愛の唯一の交歓の時。コーがケーコに囁きかけます。
‘ ケーコ。ケーコ。聞こえるか?ケーコ ’
‘ コー。コー。聞こえるわ。かきくけコー ’ とかゆうてね。
ある時コーがこんなことを言い出します。
‘ なあケーコ。僕らこんなに好きおうてるのにお互い指一本触れることもでけへん。ほんまにやるせのうてやるせのうて。何とかならんかなこの檻 ’
‘ そうねコー。あたしだってあなたのその立派なトサカやクチバシに触れられなくてとっても寂しいわ。でも仕方ない。あたしはこうやってひとりでタマゴを産むのがお仕事やもん ’
‘ タマゴ産むのが仕事やなんて。そんなん誰が決めたんや?そんなことのためだけに生まれてきたわけやないやろ?ケーコはまだええわ。僕なんかいつ毛むしられて丸焼きにでもされてまうか分からん。ええとこローストチキンやで ’
‘ いややいやや。コーがローストチキンやなんて。考えただけで鳥肌が立ってしまう ’ とかゆうてね。
‘ せやろ。せやから二人して何とかこの檻から脱け出そやないか ’
そんなこんなでその日から始まるコーの愛と自由への闘争の日々。何とか力ずくで自らを閉じ込める檻を破壊しようと天井といい壁といい手当たり次第に頭や手羽を打ち付けますがそこは身動きもままならぬ狭い鶏小屋。たいして力も入らずびくともせぬ代わりにみるみる増えていくタンコブやら打ち身捻挫でからだは満身創痍。一方ケーコはというと生来のおっとりした性格でただただ両手を握りしめてコーの孤軍奮闘を見守るばかり。二人のために闘うコーの姿に涙を浮かべながらもなんだかウットリした様子。‘ コーちゃん素敵 ’
そんな日々がしばらく続きとうとう精も根も尽き果て全ては無駄な足掻きであったかと諦め始めたその時トサカのアンテナにピピと天啓のように一つのアイデアが閃いたのでした。
‘ ケーコ!これや!これならいけるかも分からん。名づけてロミオとジュリエット作戦や!’
’ どんなん?’
‘ つまりこういうことや。こそこそこそ…’
‘ オー!コーちゃん!コーちゃん天才!どうしてあなたはコーちゃんなの?’
とか云いましてその後二人して作戦の綿密な打ち合わせを重ねてやがて明くる日の決行の朝でございます。
いつものような夜明けの鬨の声が聞こえず不審に思った飼い主の親爺が庭に出て二つの鶏小屋を覗き込むとどうも鶏の様子がおかしい。網格子の扉の錠をそれぞれ外して開け放ち顔を近づけて見てみるとどちらの鶏も白目を剥いてぐったりと力なく横たわっている。
‘ むむ。これは…今流行りの鳥インフルエンザか新型コロなんとかかいな?これはあかん ’
不安な様子で二歩三歩と後退りする親爺を薄目を開けて見ているコー。充分な距離まで親爺が遠ざかるのを待っている。
‘ ケーコ!今や! ’
二羽同時に跳ね起きるが早いか勢いよく鶏小屋から飛び出し突然のことに何が起きたのかも分からず呆然とする親爺を尻目に駆け出し遠ざかっていく二羽。
あらん限りの速度で走りやがて羽を広げて二度三度と煽ると風に乗ったからだがすーっと地面を離れていく。そのまま二羽は空を高く飛び遠くの山の端に頭を覗かせる眩しい太陽に向かって何処までも何処までも仲良く並んで飛んで行ったのでございます。🐔🐔
ちょいと?
ニワトリが飛びますかって?
飛ぶんです。
おそらく愛の魔法の力でしょう。
スプーン一掬いの愛のスープにも
無限の魔法が溶け込んでいるのです。
魔法を信じるかい?
信じるは力。
信じられるあなた。
あなたには必ずや未来への自由の扉が
開かれているのでございます。
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