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説明文

  “ 竹とんぼ ” 夏の七夕が終わった頃に 祭で使われた竹の一部を切り取って 彼は縁側で筒の歪みを見ていた 真上から穴を覗いて 指で節をなぞりながら 僕が不思議そうに その様子を見ていると 彼が僕を見つけてこう言った 竹とんぼを作ろうと思うのだが よかったら お前も一緒にやってみるかって 僕は強く頷いた 俺がやってみせるから 先ずは見てろって トンっと竹にナタを当て 縁台に振り下ろして竹を裂く やってみろって 二センチくらいの幅にしろって 僕は夢中になった ナイフの使い方もはじめて知った 刃を外に向けて親指で押す 羽の角度が大切なんだぞって 俺が培った極秘の角度を お前だけに内緒で教えてやるって 何度もナイフの持ち手を 注意されながら 危ないだろって怒られながら 物差しで中心を測って マジックで印をつけて その後はじめてキリも使った 流石にヒゴまでは 上手に削れなかったので お願いして削り出してもらった 小さな庭で 優しく何度も飛ばして 調整を繰り返す なかなか上手く できてるじゃないかって 彼は僕の頭を何度も グリグリ撫で回した 僕が興奮して飛ばしている間 彼は縁側を綺麗に片付けていた 僕を笑顔で眺めながら ナタやナイフの手入れをしていた  
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