照らされない夜桜でさえ愛でられて
散るばかりの紅葉は哀愁を誘う
去った季節と来たる季節は
どちらも白姫と呼ばれていた
悲しませまいと努力したその一途さが
どこかで誰かをこっそり傷つけていた
誰しもが自分の見える世界のことで精一杯で
優しさと思っていたものは一方でただの暴力だった
言葉にできないまま消えていった気持ちは
心の奥でいくつもの墓標を建てられて
忘れたはずなのにふとした拍子で顔を出す
懐古と異なって胸を締め付けるだけだ
最期まで愛してくれるのは自分しかいない
真実の愛も偽りの愛も結局は造花でしかなく
人々はみな自分の重さを支えるので精一杯で
自分勝手に側から離れて荷物だけ置いて行く
優しさが世界の全てでないことをもう知っている
君の見せる横顔がいつもと違うことに気づいていた
気づいていたけれど無視するように顔を背けた
ほらね、僕だって自分自身が一番なんだ
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