「決して光を当てないこと」
「決して濡らさないこと」
「決して真夜中過ぎにはエサをやらないこと」
この3つを破った時、可愛いギズモは醜悪なグレムリンに変わってしまうのだ……
1984年の暮れ、日本の正月映画は《3G決戦》で沸いていました。
《3G》はそれぞれの映画の頭文字の事で、
『ゴーストバスターズ』⇒1984年12月2日 公開
『グレムリン』⇒1984年12月8日 公開
『ゴジラ』⇒1984年12月15日 公開
の3本の事です。
アメリカで 3000万$の製作費で、アメリカ国内だけで 2億3860万$ も稼いだ『ゴーストバスターズ』
『メカゴジラの逆襲』以来 9年振りに製作された新作『ゴジラ』
と、超大作に囲まれた『グレムリン』は不利に思われていましたが、『ゴーストバスターズ』の 40億9900万円 に次いで、31億8200万円 を上げました。
( ちなみに『ゴジラ』は 17億円 )
日本人も、グレムリン = ギズモ の可愛さに 夢中になっちゃったんですね〜
『グレムリン』の監督は
自伝『私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも 10セントも損をしなかったか』を書いた、《名B級映画 プロデューサー & ディレクター》ロジャー・コーマン の元で修行を積み
『ピラニア』(78年) ⇒『JAWS』のエピゴーネン
『ハウリング』(81年)⇒いまさらの狼男映画
を監督した ジョー・ダンテ。
この ありきたりな企画の低予算映画を 見事な舵取りでヒットさせた ジョー・ダンテの才能を高くかったのは スティーヴン・スピルバーグでした。
当時、学生だったクリス・コロンバスが書いた『グレムリン』の脚本をダンテに任せたのです。
このクリス・コロンバスという学生は、後に『ホーム・アローン』(90年)や『ハリー・ポッターと賢者の石』など『ハリー・ポッター』シリーズを監督した クリス・コロンバスの事です。
クリス・コロンバスのシナリオでは、ギズモ ( モグワイ )という 可愛い不思議な動物を飼うが、飼い方を間違えた為、醜悪なグレムリンになり、町中を惨殺しまくる ゴア・ホラーでした。
しかし、完成された映画を観た人なら分かりますが、『グレムリン』はホラー映画ではありません。
その理由は 2つあり
1つ目は、『エイリアン』や『猿の惑星』などの音楽を担当した《御大》ジェリー・ゴールドスミス先生が サウンドトラックを担当する事になり、挨拶に来たダンテに即興で聴かせてみせた映画のテーマ曲
このプレイリストの ①曲目にあたる の狂騒的なラグタイムに、ジョー・ダンテが 新たなイメージを湧かせたからです。
2つ目は、ギズモのデザインに なかなかOKを出さないスピルバーグに、ダンテとクリーチャー・デザインの クリス・ウェイラスが
スピルバーグのコッカースパニエルの愛犬に似せたデザインにしたところ 1発OK!
しかも、ギズモは中盤から醜悪なグレムリンになるのだが
「こんなに可愛いんだから、最後まで可愛いままにしようよォ~ (∩´∀`∩)💕 」
と、スピルバーグ先生が仰り、内容変更!
撮影4週間前に クリス・コロンバスの脚本を 単なる下書きにしてしまいました 😅
主演は
主人公 ビリー にザック・ギャリガン
恋人 ケイト に《アイドル》フィービー・ケイツ
舞台になる田舎町 キングストン・フォールズ は
ユニバーサル・スタジオ内のセットで、翌年には『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でも 使い回しされました。
元がゴア・ホラーで残酷描写がある為、
スピルバーグは《アメリカの映倫》MPAA に
PG( 保護者同伴が望ましい ) と
R指定 (18歳未満は保護者同伴が必要 ) の中間の
PG13 ( 13歳未満は保護者同伴が望ましい ) というレイティングを作らせました。
プレイリスト・タイトルの『スピード王』(51年) は、『風と共に去りぬ』(39年)のレット・バトラー役の クラーク・ゲーブル主演映画。
ギズモは この映画に夢中になり、グレムリンに襲われるビリーを助けに
この映画の主人公になりきり、おもちゃの車を飛ばして助けに来ます。
「頼りになる男が必要なの」
ギズモの中に、映画のセリフがよみがえります!
可愛さに キュンキュンしますね😊
1100万$の製作費で作られた『グレムリン』はアメリカ国内で、1億5300万$ の大ヒットになりました。
おもちゃ も爆発的に売れました。
製作元のワーナーは すぐ続編を希望しましたが、ジョー・ダンテは興味を示さず 時は流れ 89年 になって
「やりたいようにしていい」
と ワーナーから言われ ダンテは引き受けます。
『グレムリン2 / 新・種・誕・生』(90年) です。
ドナルド・トランプとテッド・ターナーを併せた キャラクター ダニエル・クランプ ( ジョン・グローヴァー ) のクランプタワーで、グレムリンが暴れます。
前作のビリーとケイトは結婚して、二人ともクランプタワーで働いている設定です。
続編は、やりすぎなくらいドタバタとパロディが満載です。
『ダイ・ハード』『ランボー怒りの脱出』『オペラ座の怪人』など 😄
前作は『スピード王』、続編は『ランボー』です。
ランボーになりきり、助けに行きます!
ギズモは映画好き!
ギズモが トコトコ 小走りする姿に キュン死しそう💓
しかし、製作費5000万$の『グレムリン2』は アメリカ国内で 4150万$ しかあげることが出来ず、
日本でも 90年8月3日 のサマーシーズンに上映し、13億4000万円 と前作からだいぶ収益を落としました。
ジョー・ダンテのやりすぎに、誰もついて行けなかったんですね。
でも、私は 1作目より こっちの方をよく観ます。
しっかりした1作目より 楽に観れるんですよね〜😄
そして今、新たなシリーズが模索されてます。
ワーナーが立ち上げる配信サービスの目玉に、『グレムリン』の前日譚を描くアニメシリーズが検討されてます。
主人公は ギズモの持ち主だった 骨董品店の店主 ミスター・ウィング。
若きウィングが、ギズモと一緒にする冒険の数々がアニメ化されるそうです。
中国でのヒットを見越した作品になりそう。
主人公は中華系の役者でしょうからね。
でも これをきっかけに、実写でもリブートされるかも知れません。
また、キュートなギズモに逢える日を 楽しみに待ちたいと思います。😊
選曲⇒1作目の マイケル・センベロ の『グレムリンズ……メガ・マッドネス』が無いのが 残念 ⤵
②⑤⑦⑧『グレムリン』(84年)
①③④⑥『グレムリン2 新種誕生』(90年)
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