Landscape Poetry.
「乙女の祈り」
清々しき春の訪れを迎え
庭の花々は彩を増し
風は薫るばかりです
麗らかな日々の中
君を想う恋慕の念は
さらに募りて
心は浮かれて
君去りしあと
私の胸はまるで空蝉のようで
虚ろな響きを残すのみ
夢にて君に抱かれはすれど
目覚めは冷たい涙が包む
君はいずこにいかれたのやら
それでも
私の心の声よ
君に届けと
天へと祈るばかりです
「 脱出ゲーム 」
能力主義で
競争ばかりの世の中で
理不尽 矛盾 不平等
押し潰されて
思わず
今の暮らしに満足したふりをした
あゝ
そんな自分を見つけるたびに
怖くて周りを見渡すけれど
信じられるものなんて無い
湿った風が
夜の隙間に忍び込んでくる
いつものように
あゝいつものように
闇に包まれ夜が来る
こんな暮らしとはおさらばしよう
夢に向かって
小さな声で呟きながら
寝返りばかりを繰り返す
回し車をカラカラと
ずっとずっと走りつづけて
あゝ
ふと気がつけば
いつものように
あゝまたいつものように
まったくおなじ朝が来る
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