“ 雨の恵み ”
窓から空を見上げれば
灰色の雲
グラデーションが美しい
雨音
建物のどこかを
流れ叩き そして落ちる
車がエンジン音とともに
タイヤが水を跳ね上げ
通り過ぎる音も聞こえてくる
遠く視線を向ければ
海の水を冷やし
魚の群れを近郊に寄せ
田畑の土に潤いをほどこす
山々の緑を増して
川に勢いを吹き込んでいる
視線を心の内に戻せば
こんな雨のように生きたい
そんな雨のように
君を愛したいと
願っていたりするんだよ
雨粒
重力に引っ張られて
何かにぶつかり
音を生み出し弾け飛ぶ
溶け込み
また空に昇るのを待っている
“ 察する ”
日本人の特徴とされる
察する文化
『一を言って十を知れ』
周囲の様子を観察し
状況を読み取り
言われずとも
やるべきことをこなす
それは
とても効率的に見える
『以心伝心』
恋愛においても
『瞳と瞳で通じ合う』
そんな相手こそ
相性の良い人とされる
なぜこんな文化が生まれたのか
島国ゆえ
異なる文化に触れる機会が
極端に少なかったため
人々の価値観や行動は
自然と似通い
言葉を交わすことさえ
エネルギーの消耗と判断
ゆえに
他人に負担をかけぬよう
察することが
洗練された行為となった
『阿吽の呼吸』
狛犬の静かな調和
察する力は
長い年月をかけ
礼儀 美意識 協調性の象徴となる
それは争いさえ避け
社会を潤滑に動かす力
けれども同時に
察しきれぬ者を責める文化も育てた
察せない者は恥ずかしい人間
そんな価値観が
人々の心に根を張り深く刻まれた
罪か善かより
恥か察せられるかが
判断の基準へとすり替わった
欧米の学者は
諸外国を罪の文化とし
日本を恥の文化と定義した
察することの重視には
多くの良い面がある
だがリスクも多い
「他人にどう見られるか」
それが行動の指針となった日本人
もちろんそれも大切なこと
だけれど「自分はどうありたいか」
そんな指針を
もっと前面に押し出せば
言葉を交わし心を開くことで
きっと
新たな絆が生まれる
新しい世界が見えてくるだろう
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