君は少し先に目覚めて、 僕の好きな甘い卵焼きを作るその前 に、 僕が昨夜、 ベッドへ催促したばかりに、 残っている洗い物を片付ける。 外では一人で生きているような顔を する僕を、 何も言わずに支えてくれた。 いつかは、いつかは、 って結局言えなかった。 好きになったのは、僕が先だった。 いつだったか、 君が言い掛けた言葉。 察した僕は遮る。 「良い天気だね」と。 その朝、 確かに二人は笑顔で泣いていた。 修復は難しい、と。 何にも訊かずとも何となく分かった 、 考えずに居られたあの頃はきっと幸 せだった。 ごめんねも、ありがとうも、 あんまり言えなかった。 好きと言ったのは、君が先だった。 時が過ぎて、 この恋は美化され褪せていく。 それならば良いと言った、 良いと願った君が褪せないまま。 今では一人で、 何とか一人で生活をしていると、 君が知ったら笑うだろう。 いつかは、いつかは、 って結局言えなかった。 好きになったのは、僕が先だった。 好きになったのは、僕が先だった。