暮れた陽だった。ムセ狂う気体に ユレル地平層…… 砂と太陽の間に張られた 熱と光のセロハンに よくある景色だ。よく似た景色だ。 体、今ここにあるのに 仰向けになってじっと夜を待つ 咲いたり枯れたりもせずに 熟れた陽を浴びて石の花は 争い多きこの星の濁った空気を 怨色に染めるという…… 怨色に染めるという…… そういう星にて。目隠しされて 濡れたドクロ岩…… 喰われた羽で哀れに泳ぐ 黒蛾を握りつぶすように なぜ殺す。なぜ殺される。 体、今ここにあるのに まわる満月に見ていたものは 僕の首を狩る兎 月光に影のばし石の花は 命、失ったものの涙を 怨色に染めるという…… 怨色に染めるという…… わずかな光の中 月の円から抜け出して 幾千、鳥のように空翔ける 兎 その赤い目でこの星の何を見る? 絶え間なく降りそそぎ この空を埋めていく…… 暮れた陽だった。ムセ狂う気体に ユレル地平層…… 砂と太陽の間に張られた 熱と光のセロハンに よくある景色だ。よく似た景色だ。 体、今ここにあるのに 仰向けになってじっと夜を待つ 咲いたり枯れたりもせずに 熟れた陽を浴びて石の花は 争い多きこの星の濁った空気を 怨色に染めるという…… 怨色に染めるという……