最終列車はもうとっくに 出てしまったみたいだ 誰もいないホームに、 僕の影だけが伸びていた 持て余した「さよなら」 は、行き場をなくして ポケットの中で、冷たくなっていた 過去という名の荷物が、 やけに重たくて 一歩も動けずに、 ただ線路の先を見つめていた 夜の風が、 めくれたポスターを揺らしている そこには僕が、 なりたかった自分が笑っていた だけど聞こえたんだ 遠くから近づいてくる光の音が 「ここが終わりじゃない」 と告げる優しい汽笛が 滲んでいた視界の向こうで、 空が白み始める 始発列車は、僕を待ってくれていた 震える足で踏み出した、 未来との境界線 ここが僕のプラットフォーム、 新しい旅の始まりの場所 涙の切符をぎゅっと握りしめて、 今、乗り込むんだ さよなら、昨日までの弱い僕 夜明けの向こう側へ、連れていって 車窓に映る自分の顔が、 少しだけ大人びて見えた 無理やり作った笑顔じゃなくて やっと、本当の顔で泣けたんだ 動き出した車窓から見えるのは、 見慣れたはずの街 でも、 もう僕の知っている 街じゃないみたいだ 過去はただ、そこにあるだけで、 追いかけてはこないんだと 流れる景色が、静かに教えてくれた Yeah. 思い出はスーツケースに詰めて 鍵はかけずにそっと置いてきた 重いコートを脱ぎ捨てるように、 未練も後悔も 全部あのホームに残してきたんだ 空っぽになったこの両手で、 何を掴みに行こうか 期待と不安のミックスジュース、 案外悪くない味だ 聞こえるだろう? 胸の奥で鳴り響く力強い鼓動が 「お前なら大丈夫だ」 と励ます僕自身の声が トンネルを抜けた先に広がる、 目が眩むほどの光 僕の旅は、まだ始まったばかりだ 加速していく車窓の向こう、 新しい地平線が見えた ここが僕のプラットフォーム、 夢の続きを描き出す場所 希望という名の地図を広げて、 顔を上げるんだ ありがとう、昨日までの全ての僕 光が差すあの場所へ、連れていって 隣の席で眠る君の寝顔を見て 一人じゃないんだと、 心の底から思えた この手の温もりさえあれば どこまでだって、行ける気がする 最終列車を逃したからこそ、 この始発に乗れたんだ 回り道も、立ち止まった時間も、 全てに意味があった ポケットの中で冷たくなっていた 「さよなら」は いつの間にか、「ありがとう」 に変わっていた Aight. 乗り換え案内のない人生 行き先を決めるのは、 いつだって自分自身 誰かの期待に応える旅はもう終わり 僕が本当に見たい景色を 探しに行くんだ 迷ったら、 この胸の羅針盤を信じるだけ さあ、 次の駅では何が待ってるだろう ほら、聞こえるよ 君の笑い声と僕の鼓動が重なって 新しい僕らの歌が生まれる 夜明けの光が僕らの未来を 祝福している もう何も、怖くはない 僕らが降り立つ全ての場所が、 未来のプラットフォーム 二人でいれば、 どこだって 新しい始まりの場所になる 涙の跡が乾いた頬に、 朝の光がキスをする こんにちは、 今日から始まる新しい僕 僕らの物語の、 その先へ連れていって
