荷物を積んで何もなくなった 部屋を眺めてみれば 悲しいくらい何にもなくて 悲しいくらい何も なくなってしまったように思えて 悲しいくらい何も なくなってしまった部屋の 隅っこにちん毛一本置いてきた 電車に乗って見知らぬ土地へ 見知らぬ街を 何度も何度も何度も通り過ぎて 見知らぬ景色に 自分を溶かしてみようとしたけど うまく溶けなかった 見知らぬ川 叙情だよ 見知らぬ川の流れに 自分の顔を映してみれば 半笑いのにやついた口元に ストレスのヘルペス一つぶら下げて 叙情 慕情 鴨川慕情 暮れかける京の夕べ 遠くに見えるろうそくタワーに ぼんやり明かりが灯るところ 見知らぬ川 叙情かな 見知らぬ川の流れは 案外優しいな 何だか懐かしいな なんてことないな なんて敏感で鈍感な 僕の精神なんだろう 叙情 慕情 鴨川慕情 暮れてゆく 初夏の夕べ 水面に映る東京 木綿のハンカチひらひら揺れて 叙情 慕情 鴨川慕情 暮れてゆく今日の夕べ この街で生きていこう 生きていける 水面に映った 治りかけのヘルペス一つ この街で生きていこう 生きていける 水面に映った 治りかけのヘルペス一つ